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てぃーだブログ › ASYLUM(アサイラム)2011〜Sakurazaka Music & Art Weekend › interview › suzumoku(ズズモク)interview

2011年08月15日

suzumoku(ズズモク)interview

suzumoku(スズモク)interview

suzumoku(ズズモク)interview

一筋の光のような
ささやかな明日。


 suzumokuのことを知ったのは、昨年の前半に送られて来た『素晴しい世界』のサンプル盤のCDを聴いた時だった。
 声と言葉とメロディーがよかった。
 彼の音楽からは街の風景がみてとれた。おそらく何でもない都会の日常の風景。そこにたたずんで、閉塞感に押しつぶされそうになりながら生きる男。不確かな日々にもどかしさを感じる中で、音楽は一筋の光のようなささやかな明日を奏でていた。
 昨年12月上旬、「北谷でストリートライブをやる」という、彼自身のツイッターへの突然の書き込み。「もし時間があれば、話がしたい」とダイレクトメッセージを送ると、事務所の社長から連絡がきた。
 アルバム『ベランダの煙草』のリリース、震災をはさんでのバンドツアー、沖縄でのレコーディング、etc。この約半年の間、suzumokuは一気に駆け抜けた。そして6月には初めての沖縄でのライブを行なった。
 今回のインタビューは、昨年12月に聞いた話と5月、アコースティックアルバム『Ni(ニッケル)』のレコーディングで沖縄に滞在した際に聞いた話を再構成した。

■suzumoku official website→http://www.worldapart.co.jp/suzumoku/

インタビューは続きをご覧ください


人よりも、風景をとる。

●suzumokuさんの作品には、とても風景が目に浮かぶような曲が多いと思います。曲作りの時に何か意識していることはありますか。
「実体験や想い出って、俺の場合はその時の情景とセットになってることが多いんです。嬉しかったことや哀しかったこと、人がそれぞれ思い、感じることを、自分の経験を一例として歌ってるところはあると思います。自分なりの経験をベースにして描写している。人よりも風景をとるぐらいの感じもありますよ」(笑)
●アルバム『ベランダの煙草』は、前作の『素晴しい世界』と随分テイストが違いますよね。かなる尖った印象がありますが。
「前作の『素晴しい世界』が“陽”だとすれば、今回は“陰”のあるものを作りたいと思いました。社会批判や個人的なフラストレーションとかを吐き出して、言いたいこといってる感じはありますね。コーヒーや煙草、酒みたいなモチーフがあって、どこか男っぽい感じを出したいと思いました。曲の個性がそのままアルバムになった感じですね。
 初期のアルバムの中には、自分がこういう人間だと伝える曲がなかったんです。『素晴しい世界』で、自分の殻を破って、意見を人に伝えるような曲の雰囲気が出て来たんです。そして今回の『ベランダの煙草』では、きっちりと自分の意見を伝えられた感じです」
●中でも『モダンタイムス』というのは、ものすごく痛烈ですよね。
「そうですね。今の社会に警鐘を鳴らすみたいな。こういう曲が作れるようになったのは、周囲のアーティスト仲間が刺激になっているからだと思います。ストリートから言いたいこといってきてくれる。多分、1人でやっていたら、これまでと同じような曲を書いていたと思うんですけどね」

バンドだと感情がより
ストレートに表現できる。


●2月の終わりに東京でバンドでのツアーの初日を見せてもらいました。サウンドはもちろんですけど、ステージ上の3人の感じがすごく良かったですね。
「今のメンバーでのライブは、昨年末のワンマンの時が初めてでした。その時に意気投合したんです。リハーサルを重ねていくうちに、友人感覚になったんですよね。今は、バンドのスタイルとして、すごくいい形になっていると思います。“suzumokuというバンドを聴いた”みたいな感じで、ツイッターに書かれてたりして。
 2人とも個性的なので、年上なんですけど、すごく近い感じがしています。3人でやっているチーム感が楽しいですね」
●アコースティックでやっている曲もバンドでやるとかなり印象が違いますね。
「弾き語りの曲をバンドアレンジすると、楽しいんです。音のインパクトがすごく強くなりますね。バンドだとロックな味が出て来る感じです。リズミカルな曲はよりリズミカルに、『モダンタイムス』や『身から出た錆』みたいな攻撃的な曲はより鋭くなっていく。歌っていても、感情がストレートに出る感じです。曲がもっている感情を増幅させるような何かがあると思います。言葉に、より力が入ると思います」

大震災で感じたことから生まれた
新曲『僕らは人間だ』。


●ツアーの途中、仙台で東日本大震災に被災されたと伺いました。どういう状況だったんですか。
「その日(3月11日)から2日間、仙台でライブをやることになっていて、東京から車で移動中でした。仙台の近くまで来ていたんですけど、とにかく尋常な揺れじゃなくて、走って来た道に、どんどん亀裂が入っていくような感じでした。
 でも、そういう状況の中でも、とりあえず生きているという妙な感覚があって、何となく大丈夫だと感じていました。高速道路の周囲は田畑で、何かが崩れている様子もうかがえませんでした。でも、仙台に着いてから、ことの重大さに気づいたんです。通りの信号は消えて、ものすごい渋滞で、道には人があふれていました。カーナビのテレビから津波が街を襲って来る様子や被災地の映像を見たりしてるうちに、ジワジワときました」
●そうした状況の中でも、やはり音楽はやるべきだと考えていましたか。
「何となく歌うべきだと思っていました。こんな時に音楽をやるべきなのかどうか、もちろん、そういう空気じゃないことはわかっていました。みんなの気持ちが揺れていて、その中で俺はどうするべきなのか、考えました。ライブはできないけど、楽器はあるし、『ストリートでやろうか』なんて話も出るんですけど、話そのものが空々しい感じでした。自分自身、気持ちの上でそれどころじゃない感じだったし、何かできないかというのはありました」
●そんな中で『僕らは人間だ』という曲が生まれたんですね。
「はい。仙台では、ホテルや市役所の人とか、いろんな方に世話になりっぱなしでした。そんな、受け身ばかりで、能動的じゃない自分に無力感を感じて、わけもわからず悩んでいたんです。どっちみち何もできなかったと思うんですけど、その時は本当にアクションを起こすことができなかった。
 その後、仙台から富山へ向かう道中も気持ちが揺れていました。すごく長い時間のドライブで、少し眠って目を覚ますと、ラジオが状況を伝えていて、それを聞いたら、シンプルに曲を作ろうと思いました。それで、車の中で詩を書きはじめたんです。
 3月13日の朝に富山に着いて、ホテルで曲をつけて、近くのスタジオで、音は悪いんですけど、iPhoneのアプリケーションを使ってレコーディングしました。そしてできたのが『僕らは人間だ』という曲です」

※『僕らは人間だ』はYoutubeで発表され,現在はオフィシャルサイトから無料で音源をダウンロードできる。
ダウンロード→http://www.worldapart.co.jp/suzumoku/bokuraha/index.html

なんとかなりそうな
沖縄のタイム感が刺激に。

●今回の沖縄でのレコーディングは、ソロのアコースティックと伺いました。
「そうですね。でも基本、ノープランです。ガチガチに固めずに、堅苦しくない沖縄の空気感にゆだねる感じです」
●東京と沖縄の空気感の違いってどんなところに感じますか。
「町のタイム感じゃないですかね。沖縄にいるとあせらなくていい、なんとかなりそうな気がするんです。その場のリラックスできる空気を味わいながら、それが刺激になってたりする」
●どんな作品になりそうですか。
「弾き語りの生っぽさを活かして、即興性のあるものを作りたいと思いました。新曲ももちろんやりますけど、今までの曲をリアレンジして録音したりもします。曲の雰囲気もシンプルなものになると思います。まだ始まったばかりなのでわかりませんが、その場のアイデアをどんどん取り入れていこうと思っています。
 今回、デザイナーやカメラマンと一緒に来ています。一緒に沖縄で素材を集めて、その中から作品を作れたらと思っています」

11月、バンドスタイルで
『ASYLUM2011』に登場!!


 6月、沖縄での初めてのライブはタテタカコさんとのツーマンライブ。2日目の桜坂、『素晴しい世界』から『モダンタイムズ』へと至るセットリストが、彼との時間軸をなぞるような感じでなんだかよかった。
 沖縄でレコーディングされたアルバムは7月に『Ni(ニッケル)』というタイトルでリリースされた。エレキギターの弾き語り。CDとは思えないLPみたいなアートワーク。とてもチャレンジングな感じが伝わってきた。
 そして11月の『ASYLUM2011』、suzumokuは、バンドで沖縄に上陸する。彼の言葉は、バンドサウンドの中で、よりストレートな輝きをみせてくれるはずだ。見るたび、聴くたびに違うsuzumokuの音楽、11月には、これまでに見たことのない表情をみせてくれるに違いない。


取材・文/野田隆司(2010/12 /12・2011/5/6)
※おきなわ倶楽部2011年6月号掲載の記事を再構成しました。


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Posted by harvestfarm at 02:26│Comments(0)interview
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